神社のお賽銭として10円玉が敬遠される最大の根拠は、「10(とお)」という音の響きが「遠縁(とおえん)」に通じるという語呂合わせにあります。良縁を求める参拝において、「縁が遠ざかる」「関係が疎遠になる」といった連想を生むため、不吉なジンクスとして定着しました。
日本には古来、言葉に霊力が宿ると信じる「言霊(ことだま)」の思想があります。江戸時代の商人文化や庶民の洒落(しゃれ)から生まれた語呂合わせが、願掛けのゲン担ぎとして現代まで受け継がれてきた経緯があります。恋愛成就や商売繁盛など、特定のご縁を結びたい参拝者にとって、「遠縁」を想起させる10円玉は心理的なタブーとして扱われてきました。