八代亜紀さんの名前を不動のものにしたのが、1979年発表の『舟唄』と、翌1980年の『雨の慕情』です。『雨の慕情』では第22回日本レコード大賞を受賞し、名実ともに女性演歌歌手の頂点に君臨しました。情感たっぷりに情景を浮かび上がらせるハスキーボイスは「哀愁の歌姫」の代名詞となり、長距離トラック運転手たちのアイドルとしても熱烈な支持を集めました。
演歌の女王としての地位を確立した後も、挑戦の手を緩めることはありませんでした。2010年代以降は本格的なジャズアルバム『夜のアルバム』を世界各国で配信ヒットさせ、ロックフェスティバル「SUMMER SONIC」への出演を果たすなど、若者世代や海外リスナーにもその実力を再認識させました。ジャンルにとらわれないボーカリストとしての探求心は、後進のアーティストたちに今も多大な刺激を与えています。