浪速大学医学部第一外科学助教授・財前五郎。野心に満ちあふれ、天才的な執刀技術を持ちながらも権力機構の渦に飲み込まれていくこの主人公は、演じる役者の役者生命すら変えてしまうほどの重厚さを持つ。
1978年のフジテレビ版で主演を務めた田宮二郎の圧倒的存在感は、今や伝説だ。自ら映画版に続いてドラマ化を熱望し、財前五郎という人物になりきりすぎたがゆえに、放映終了直前に自ら命を絶つという衝撃的な最後を遂げた。彼の見せた鋭い眼光と苦悩に満ちた表情は、まさに「財前五郎そのもの」として今なお旧作ファンに語り継がれている。
一方、2003年から2004年にかけてフジテレビ開局45周年記念ドラマとして放送された唐沢寿明版は、現代的な洗練と内に秘めたギラギラした欲望を見事に融合させた。唐沢が見せた教授選で見せる野心的な立ち振る舞いと、終盤で見せる病魔との孤独な闘いは視聴者の涙をさそい、平均視聴率20%を超える大ヒットを記録した。
そして2019年、テレビ朝日開局60周年記念スペシャルドラマとして現代に蘇らせたのが岡田准一だ。岡田は圧倒的な身体能力と存在感を生かし、2010年代の最新医療現場を背景に、強固な信念と冷徹さを併せ持つ新たな財前像を構築した。三者三様の「ハマリ役」は、それぞれの時代の空気感を映し出す鏡となっている。