警察庁の交通事故統計や現場のインシデント事例を分析すると、バイク二人乗り時の転倒事故の多くは「極低速時のふらつき」または「コーナーリング中の同乗者の不意な逆体重」によって引き起こされています。二輪車はライダーと同乗者の2人が一つの重心を共有する乗り物であるため、息の合った連携が欠かせません。
取材に応じた二輪安全運転指導員やベテランツアラーの証言に基づき、失敗を防ぐタンデム走行のコツをライダー側・パッセンジャー(同乗者)側の双方から整理しました。
【ライダー側が徹底すべき運転技術】
- リアブレーキを主体にした丁寧な制動:フロントブレーキを急激にかけると、同乗者の体重が前方に押し寄せ、ハンドルを取られて転倒しやすくなります。リアブレーキで姿勢を沈めながら穏やかに減速するのが鉄則です。
- すり抜け・過度なバンクの完全封印:車重が増加しているため、単独走行時と同じ感覚で車体を倒し込むとステップやマフラーを擦り、制御不能に陥ります。
- 発進・停止前の「声かけ」:停止時に同乗者が突然姿勢を変えると足つきが崩れます。止まる寸前や発進時の事前合図が転倒を防ぎます。
【同乗者(パッセンジャー)が守るべき同調動作】
- ライダーの背中(体幹)と一体化する意識:カーブで怖がって車体を無理に起こそうとする(逆体重)と、バイクが外側へ膨らんでガードレールに衝突する危険があります。ライダーの肩越しに曲がる方向の先を見つめる姿勢が理想です。
- ニーグリップとステップワーク:ライダーの腰に軽く手を回すかグラブバーを握り、太ももでライダーの腰回りを軽く挟み込むことで急加減速時のズレを防ぎます。
また、走行中のコミュニケーションを劇的に改善するのがタンデム用ヘルメット・インカムの導入です。大声を出しても風切り音でかき消される高速道路では、同乗者の体調不良や疲労、トイレ休憩の要望をリアルタイムに把握できず、同乗者が居眠りをして転落する事故例が報告されています。B+COMやSena、Cardoといった主要インカムを装着し、常にクリアな会話環境を整えておくことは、快適性だけでなく安全確保のための最重要装備と言えます。