2010年代の邦画アニメーション業界を代表する一大冒険ファンタジーである本作は、単なる娯楽作にとどまらず、血縁を超えた家族のあり方を提示した成長劇でもありました。スタジオ地図が世に送り出した作品群の中でも、肉親との葛藤や異世界での精神的自立を描く手腕は際立っています。
師匠であり親代わりでもあるバケモノたちとの交流を通じて成長する人間たちの姿は、伝統的な家族像が変化しつつある現代において深い共感を集めました。その中で一郎彦という存在は、「血の繋がりがないことへの恐怖」を象徴する裏の主人公として機能していたと言えます。