スリルや重厚なドラマだけでなく、意図せぬ巻き込まれ型の人間模様を描いたユニークな作品も存在する。実力派俳優の遠藤憲一が主演を務めた映画『バスジャック』はその好例だ。ひょんな誤解からバスジャック犯だと勘違いされてしまう主人公の困惑と、車内の奇妙な連帯感を描いた異色作である。
予測不能な展開が続くクライムサスペンスでありながら、密室劇ならではのブラックユーモアと人間味溢れるドラマが織り交ぜられており、遠藤憲一の圧倒的な演技力が光る。シリアスな防犯報道とは異なる角度から、乗り物乗っ取りというシチュエーションの多様な魅力を物語っている。