この場所を語る上で欠かせないのが、数年前に発表されベストセラーとなった小説の存在だ。人生に絶望した男が、タクシー運転手に導かれて「月」を目指す物語。作中で描かれた人間の再生と、天竜区の美しい自然描写は、読者の心に深く刻まれた。
2026年現在も、その影響力は衰えていない。むしろ、不安定な世界情勢や経済的な閉塞感の中で、物語が持つ「人生の再スタート」というテーマが、今改めて共感を呼んでいる。文学碑を訪れる巡礼者たちは、本を片手に周囲を散策し、登場人物たちが感じたであろう風の冷たさや川のせせらぎを肌で感じている。