浴衣はどっちが前?男女共通の正解と死に装束を避ける3秒判別法

浴衣はどっちが前?男女共通の正解と死に装束を避ける3秒判別法

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「左前(ひだりまえ)」がなぜこれほどまでに忌避されるのか、その理由は日本の古代史と仏教的な死生観に深く根ざしています。

719年「衣服令」に記された国家ルール

歴史的な契機となったのは、奈良時代の養老3年(719年)に元正天皇が発令した「衣服令(えぶくりょう)」です。この法令の中で「初令天下百姓右襟(天下の百姓はすべて襟を右前にせよ)」と明確に義務付けられました。

当時、中国(唐)の文化制度を取り入れていた日本において、位の高い貴族や支配層は右前で衣服を着ていました。全国民に対して「身分に関わらず全員が右前で着るべし」と定めたことで、右前の風習が日本文化に定着したのです。

死生観と「逆さ事(さかさごと)」の儀礼

では、なぜ亡くなった人に対しては逆に左前で着せるのでしょうか。日本古来の信仰や仏教儀礼には、「現世と来世(あの世)は正反対の世界である」という考え方(逆さ事)が存在します。

亡くなった方を見送る際、生前とはすべてを逆にして送り出す儀礼が行われます。

  • 衣装を左前に着せる(経帷子)
  • 屏風を上下逆さまに立てる(逆さ屏風)
  • 北枕で寝かせる
  • 布団の上下を逆にかける

つまり、生きている人間が「左前」で浴衣を着ることは、自ら死者の装束を身にまとうことを意味し、「不吉」「縁起が悪い」「死者を冒涜しているように見える」として厳しく禁じられてきたのです。ビジネスの場や経済用語で経営悪化を「左前になる」と表現するのも、この不吉な由来に基づいています。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。