2026年現在、広島平和記念資料館の展示空間は、訪問者の「共感」を最大化する設計へと進化を重ねている。かつての通路に佇んでいた被爆再現人形の代わりに配置されたのは、被爆者の遺品と、その遺品にまつわる個人のストーリーだ。
たとえば、中学生の男の子が着ていたボロボロの制服や、焼き焦げた弁当箱。それら一つひとつの横には、その日、その場所でその人物がどのように過ごし、どのような家族の思いが残されたのかを示す解説が丁寧に添えられている。ただの展示物として見るのではなく、自分と同じ一人の人間として感情を重ね合わせる体験が、現在の展示の真骨頂である。