東日本大震災以前の磯原海岸を記録した写真や絵葉書を振り返ると、現在の無機質な岩肌とは対照的な、生命力あふれる緑の孤島が海上に浮かんでいたことがわかります。北茨城市の二ツ島は、その名の通り大小2つの島で構成されており、沖に向かって左側にそびえる大きな主島(男島)と、その右側に寄り添う小さな岩礁(女島)が絶妙な調和を保っていました。
かつての主島は海面からの高さが約25メートルに達し、まるで太平洋を進む巨大な軍艦や鯨を彷彿とさせる堂々たる佇まいを見せていました。頂部から斜面にかけてはアカマツやクロマツが生い茂り、海岸性植物が自生。夕暮れ時には枝先にウミウなどの海鳥が羽を休め、童謡詩人・野口雨情の生誕地としても知られる磯原の風情ある景観を彩っていました。
国道6号沿いから望むその優美なシルエットは、茨城県内でも屈指のドライブスポットや絵画の題材として広く愛され、観光ポスターの主役を飾る名所だったのです。