この移動喫茶での泥臭い対話と悲嘆への寄り添いは、のちに「臨床宗教師活動」と呼ばれる新たな精神ケアの枠組みへと発展していく。特定の布教活動を目的とせず、病院や福祉施設、災害現場などで宗教や宗派を超えて個人のスピリチュアルな苦痛に耳を傾ける専門職の誕生だ。
その活動の様子は『NHKスペシャル』をはじめとする数々のドキュメンタリー番組でも特集され、大きな反響を呼んだ。死生観を揺さぶる巨大災害の現場で、宗教者が果たすべき真の役割とは何か。伝統宗教の枠組みを越えた彼の挑戦は、医療界や福祉関係者をも巻き込む社会現象となり、東北大学をはじめとする高等教育機関での臨床宗教師の育成講座開講へとつながっていった。