これほど充実した展示規模を誇るミュージアムがなぜ入館料無料なのか、疑問に感じる来館者は非常に多いです。民間運営の博物館であれば1,000円前後の観覧料が設定されても不思議ではない施設ですが、その背景には「防衛省・陸上自衛隊直轄の公式広報施設」という明確な位置づけがあります。
北鎮記念館は、陸上自衛隊旭川駐屯地(第2師団)の敷地に隣接して設置されています。その根底にある設立目的は、以下の3点に集約されます。
- 北方防衛と開拓の歴史継承:明治初期の屯田兵制度から旧陸軍第七師団、そして現代の陸上自衛隊第2師団へと受け継がれる「北鎮(北辺の守りを固める)」の任務と郷土防衛の歴史を正しく後世に伝えること。
- 国民・市民への防衛理解の促進:自衛隊の活動実態や防衛体制への理解を深めるためのパブリック・リレーションズ(広報活動)の一環。
- 戦没者・開拓先人への慰霊と顕彰:過酷な北海道開拓と幾多の戦役で命を捧げた先人たちの遺品や手記を公的に保全・公開する役割。
国の防衛予算および陸上自衛隊の公的活動費によって維持管理されているため、営利を目的とせず、誰でも自由に見学できる公共の学び舎として0円での一般開放が貫かれています。税金が適切に活用され、歴史資料の劣化を防ぐ高度な温湿度管理と学術的展示が保たれている点も、来館者から極めて高い信頼と評価を得ている要因です。