彼の病状が世界中から注目を集めるきっかけとなったのは、名門ACミランへの移籍を果たした2014年前後のことだった。首元にくっきりと刻まれた切開痕、そして急激なビジュアルの変化。特にファンの間で波紋を呼んだのが、甲状腺機能亢進症の代表的な眼部症状として知られる眼球突出症である。左右の目の見開かれ方や視線の違和感に対し、メディアやSNSでは連日激しい議論が巻き起こった。
しかし、本田圭佑はその問いかけに対して多くを語らなかった。世界の頂点を決めるFIFAワールドカップという至高の舞台を控え、病を言い訳にすることは彼のプライドが絶対に許さなかったからだ。体温調節が利かず、心拍数が急上昇する過酷な状態に晒されながらも、日本代表の司令塔としてピッチに立ち続けた凄絶な覚悟。それは単なる体調不良という言葉では片付けられない、極限状態での闘いだった。