この主権争いに最終的な決着をつけたのが、2010年南アフリカW杯直前の劇的なチーム改革でした。本大会を目前に控え、テストマッチで敗戦が続いていた日本代表。追い詰められた岡田武史監督は、開幕直前の合宿で戦術の根本的な大転換を決断します。
それまでチームの中心だった中村俊輔をスタメンから外し、フィジカルの強さと高いキープ力を持つ本田圭佑を「1トップ(アンカー)」に抜擢したのです。守備を固めてカウンターに活路を見出すリアリズムへの舵切りは、長年チームを牽引してきた大黒柱のベンチ降格という、極めて非情な世代交代を意味していました。
本大会が始まると、本田圭佑はカメルーン戦で決勝点を奪い、デンマーク戦では無回転FKを突き刺して日本をベスト16へと導く大躍進の立役者となりました。中村俊輔はこの大会、グループリーグ第2戦のオランダ戦で途中出場したのみにとどまりました。悔しさを押し殺し、ベンチからチームを鼓舞し続けた中村の姿と、ピッチで世界の度肝を抜いた本田の咆哮。この南アフリカの地で、日本代表の象徴は完全に次の時代へと引き継がれました。