高速道路で最も事故の発生リスクが高まるのがインターチェンジやジャンクションの合流地点です。ここで多くのドライバーが誤認しているのが、「合流時の優先順位」です。
道路交通法第75条の6(本線車道に入る場合等における他の車両との関係)には、以下のように明記されています。
「車両は、本線車道に入ろうとする場合において、当該本線車道を通行する車両の進行を妨害してはならない。」
つまり、本線車道と加速車線の優先関係において、優先権を持つのは100%「本線車道をすでに走行している車両」です。加速車線から本線へ合流しようとする車両には、本線車両の進行を妨げてはならない法的な義務が課されています。本線車道の合流優先権は本線側にあるという原則は、いかなる場合も揺らぎません。
しかし、実際の交通現場では危険な思い込みが散見されます。交通心理や現場のヒヤリハット事例を調査すると、合流側のドライバーが「加速車線の終端まで来たのだから、本線の車はブレーキを踏んで譲ってくれるはずだ」という甘い期待を抱き、無理な割り込みを試みるケースが後を絶ちません。本線走行中の車が後続車との車間距離や速度差から安全に減速できない場合、重大な追突事故や接触事故へと直結します。
現在、高速道路会社各社(NEXCO各社等)は渋滞緩和のために「ジッパー合流(ファスナー合流)」を推奨しています。これは加速車線の先頭付近で1台ずつ交互に合流するマナーですが、これはあくまで「円滑な交通の流れを作るための運用上のマナー」であって、合流側に法的な優先権を与えるものではありません。万が一接触事故が起きた場合、過失割合の基本ベースは合流側が圧倒的に重くなります(基本過失割合:合流側70%〜80%対本線側20%〜30%)。
加速車線は十分な助走距離を使って本線の速度まで一気に加速し、本線の車列の「切れ目」を見極めてスムーズに入り込むための区間です。加速を躊躇して低速のまま合流口に達してしまうことこそが、最大の危険因子となります。