横浜マラソンの最大の醍醐味といえば、普段は絶対に歩くことのできない首都高速道路湾岸線を走る特別感だ。パシフィコ横浜前を一斉にスタートしたランナーたちは、赤レンガ倉庫や山下公園といった観光名所を抜け、いよいよ高速道路の専用区間へと攻め込む。眼前には青々とした東京湾と横浜ベイブリッジの大パノラマ。海風をダイレクトに全身で受け止めながら走る疾走感は、他の都市型マラソンでは絶対に味わえない快感だ。
ただし、アップダウンの激しい首都高区間は「試練のゾーン」でもある。傾斜のついたバンク道路や容赦なく吹きつける強い潮風が、後半に差し掛かったランナーの足を確実に削っていく。ここでいかにペースを守り、メンタルをコントロールできるかが完走の明暗を分ける。幾多のランナーが壁にぶつかり、苦悶の表情を浮かべながらも前へ前へと足を進める姿は、観る者の胸を熱く揺さぶる。