2015年、村野氏は首のしこりに気づき、受診した病院でステージ4の下咽頭がんと診断されました。医師から告げられたのは「もってあと数ヶ月」という非情な宣告。しかも、一般的な手術を行えば、俳優としての命である「声」を失うことになるという過酷な現実が突きつけられました。
そこで彼が選んだのが、放射線治療の一種である「陽子線治療」です。
陽子線治療とは、水素の原子核(陽子)を高速に加速させてがん細胞に照射する治療法。従来のエックス線とは異なり、がん病巣の深さでピタッと止まり、ピンポイントで最大の破壊力を放出する特性を持っています。つまり、周囲の正常な組織や臓器を傷つけるリスクを最小限に抑えられるのです。この技術が、彼の喉と声を救う鍵となりました。