昭和の『必殺仕事人』を語る上で欠かせないのが、藤田まことさん演じる中村主水を中心とした緻密な人間関係です。家庭では婿養子として姑のせん(菅井きん)と妻のりつ(白木万理)から「ムコ殿!」と小言を言われ、奉行所では上司にへつらうダメ同心を装いながら、裏では研ぎ澄まされた冷徹な刃を振るう二面性が視聴者の心を掴みました。
初期の『必殺仕事人』では主水、畷左門、秀の3人が中心となり、骨太な人間ドラマを展開。その後、『新・必殺仕事人』から登場した三味線屋の勇次(中条きよし)と母・おりく(山田五十鈴)の加入によって、作風は洗練されたスタイリッシュなアクション時代劇へと昇華します。秀と勇次のツートップは女性ファンを巻き込んだ社会現象となり、時代劇ファン層を大きく広げました。
続く『必殺仕事人V』では、組紐屋の竜(京本政樹)と鍛冶屋の政(村上弘明)という美形コンビが誕生。主水が後方からチーム全体を統率し、加代や順之助がコミカルな掛け合いで脇を固める完璧な布陣が完成しました。表と裏、厳格な掟と情の板挟みを描く相関図は、時代劇ドラマの金字塔として今も色褪せません。