別府弁天池を訪れた人が一様に息をのむのは、染料を溶かしたかのように鮮烈なエメラルドブルーの色彩です。山口県美祢市に広がる日本最大級のカルスト台地・秋吉台の恩恵を受けるこの地では、石灰岩層が天然の巨大なフィルターとして機能しています。池の底から湧き出る水は、年間を通じて約14度から14.5度の一定水温を保ち、極めて高い清浄度を誇ります。
取材班が水質調査および光学会の報告を精査したところ、別府弁天池の青い理由は単一の要素ではなく、地形と光学特性が緻密に重なり合った結果であることが裏付けられました。池の水には微細なカルシウム分や炭酸水素イオンが溶け込んでおり、日光が差し込んだ際に波長の長い赤色光が水分子に吸収され、波長の短い青色光だけが微粒子によって乱反射される「レイリー散乱」に近い現象が発生します。水深約4メートルの底にある白い石灰岩質の砂利がこの散乱光を反射板のように押し上げるため、見る者の目に鮮やかなコバルトブルーとして届く構造です。
水質基準に関しても、硬度約60mg/L前後の軟水寄りのミネラルバランスを保ち、一般的な水道水と比較しても有機物や浮遊物が極限まで少ない状態が保たれています。古くから「一杯飲めば1年、二杯飲めば2年長生きする」と言い伝えられる延命長寿の伝説は、かつて疫病や水不足に苦しんだ時代に、病原菌を含まない純度の高い湧水が人々の命をつないだ歴史的事実の表れと分析できます。