彬子女王の知的なキャリアを象徴するのが、イギリスのオックスフォード大学への留学経験だ。日本美術史を専攻し、並々ならぬ努力の末に博士号を取得したプロセスは、彼女の人生における決定的な転機となった。その留学時代の過酷かつ人間味あふれる日常を生き生きと描いた著書『赤と青のガウン』は、出版・メディア産業で大きな話題を呼び、皇族のエッセイとしては異例のヒット作となった。
同書の中に描かれているのは、プリンセスという特別な身分を離れ、一人の研究者として論文執筆の苦しみや生活上のトラブルに頭を抱える等身大の姿だ。飾らない語り口と卓越した文章力は多くの読者の共感を呼び、彼女の魅力を世に広く浸透させるきっかけとなった。