伝統的な宮内庁の広報スタイルにとらわれず、自らの肉声で思いを届けるコミュニケーション能力も、彬子女王ならではの際立った特徴だ。エッセイの行間から溢れ出るのは、飾らない日常の喜怒哀楽と、周囲の人々への深い感謝の念である。
かつての皇室ジャーナリズムが描いてきた「神秘のヴェールに包まれたプリンセス像」は、彼女によって鮮やかに塗り替えられた。テレビカメラの前で見せる柔和な笑顔の奥にある、研ぎ澄まされた洞察力とウィットに富んだ受け答え。形式主義に甘んじることなく、自分の言葉に責任を持ち続けるその姿勢が、世代や立場を超えて幅広い層の共感を呼んでいる。