北見の食の根底を支えているのは、間違いなくタマネギである。日本国内で生産されるタマネギの約2割を占めるこの街の畑は、日照時間の長さと昼夜の激しい寒暖差によって、糖度の高い玉ねぎを育てる。地元の人々は、これを単なる薬味や脇役として扱わない。
最近では、この基幹作物を現代的なアプローチで再解釈する若手シェフやクラフトカルチャーの動きが目覚ましい。日本初のクラフトビール醸造所として名高い「オホーツクビール」では、地元産の麦芽と玉ねぎのエキスを使った限定エールを仕込み、ほのかなカラメル香と麦の苦味を両立させている。
丸ごとローストして芯のとろける甘みを引き出したタマネギ料理や、スパイスと玉ねぎの水分だけで煮込んだ無水カレーなど、素材の力に頼り切った潔い料理を出すバルも増えた。華美な装飾を削ぎ落とし、大地の力をそのまま皿に乗せる──それが北見の新しい潮流だ。