SNSやネット掲示板を調査すると、「鼻の奥に何かが挟まっている感覚が3週間消えない」「強く鼻をかんでも何も出ないのに奥が詰まっている」といった深刻な書き込みが数万件規模で確認できます。多くの人が「取れそうで取れない」もどかしさから、1日に何十回も力任せに鼻をかみ、頭痛や耳の痛みを併発させています。
都内の耳鼻咽喉科専門医が明かす臨床現場のリアルは、ネット上の認識と大きなギャップがあります。「受診者の約7割は、診察室に入るなり『何か詰まっているのでピンセットで取ってください』と訴えます。しかし内視鏡で覗くと、異物そのものは存在せず、真っ赤に腫れ上がった上咽頭や、乾燥してへばりついたカサブタ(痂皮)、あるいは細い隙間から滴り落ちる後鼻漏が確認されるのが日常茶飯事です」と専門医は指摘します。
つまり、本人が「固形物がある」と信じ込んでいる感覚の正体は、物理的な物体ではなく炎症によって肥大化した自らの粘膜や、乾燥して固着した粘液であることが大半なのです。いくら鼻を強くかんでも、腫れた粘膜自体が排出されるはずはありません。