ネット上で「リュウグウノツカイはまずい」という悪評が先行する最大の原因は、その生息環境に由来する水分保有率の高さにあります。
水深200〜1,000メートル前後の深海に生息するリュウグウノツカイは、高水圧の環境下で浮力を保ちエネルギー消費を抑えるため、筋肉組織の発達が控えめで、体組織の大部分を水分とゼラチン質が占めています。水分量は一般的な白身魚(約70〜75%)を大きく上回り、85〜90%近くに達すると水産研究者によって指摘されています。
この性質を知らずにそのまま刺身として切り分けたり、水分を飛ばさずに煮付けにしたりすると、身から大量の水分が染み出して味が著しく薄まり、「ぶよぶよして味がしない水風船のような物体」になってしまいます。つまり、素材自体に嫌な臭みがあるわけではなく、深海魚特有の水分コントロールを施さない調理法によって失敗しているケースが「まずい」という噂の正体なのです。