「カツオのたたきは表面を炙って火を通しているから寄生虫も安全」という言説を耳にすることがありますが、これは非常に危険な誤解です。カツオのたたきの加熱はあくまで表面数ミリを焦がす程度にとどまり、中心部は完全に生のままです。身の内側に入り込んだアニサキスは表面の炙り熱だけでは死滅しません。
アニサキスを確実に無力化し、安全に生食を楽しむための絶対条件は以下の基準を遵守することです。
厚生労働省が定めるアニサキスの確実な死滅基準:
・冷凍処理:マイナス20度以下で24時間以上しっかり凍結させる(家庭用冷凍庫のマイナス18度前後では中心まで冷え切るのに長時間を要するため、市販の冷凍解凍品を選ぶのが安全)。
・加熱処理:中心温度60度以上で1分以上、または70度以上で瞬時に加熱する。
また、「わさびを多めにつける」「生姜醤油につける」「酢でしっかり締める」といった民間療法的な対策でアニサキスが死ぬことはありません。アニサキスは強力な酸やアルコールに対しても極めて高い耐性を持っているため、物理的な冷凍・加熱・目視除去のみが唯一の防御策となります。