当時の欧州情勢を紐解くには、複雑に絡み合った君主と政治家の相関関係を見逃せない。プロイセン側では、慎重派の国王ヴィルヘルム1世の手綱を引きつつ、軍事顧問モルトケとビスマルクが鉄の結束でドイツ統一の青写真を描いていた。鉄血演説で知られるビスマルクの狙いは、南ドイツ諸邦をプロイセン中心の統合へ巻き込むために「外敵フランスの脅威」を利用することだった。
対するフランス第二帝政は、華やかな繁栄の陰で孤立を深めていた。ナポレオン3世は持病の悪化で判断力を鈍らせ、ウジェニー皇后をはじめとする強硬派の意見に振り回される。周囲の同盟国を見渡しても、ロシアやオーストリア、イギリスは静観を決め込み、フランスは孤立無援のまま戦場へと引きずり出されていった。