博多祇園山笠の総鎮守である櫛田神社では、古代から続く神事の伝統が厳格に受け継がれている。伝統行事における女性参加規定は、差別の文脈ではなく神道における「女人禁制」の清めや役割分担という理念に基づいている。山笠期間中、男衆は「女人断ち」を行い、キュウリを食べることすら断つ(キュウリの切り口が櫛田神社の祇園神紋に似ているため)など、徹底した物忌み(ものいみ)を行う。
時代が進む中で、スポーツや文化の領域では多様性とジェンダーフリーの波が押し寄せている。しかし、神道の祭祀としての根幹を守る立場からは、「すべての風習を現代の規範に合わせて改変すれば、文化の本質が失われる」という根強い考え方が存在する。この伝統と変化の相克こそが、現代の山笠が直面している最も深い課題と言える。