本作の最大の真骨頂は、遺留品に残された僅かな手書き文字や遺書、SNSの文体癖から犯人像を炙り出す文書解読プロセスにある。一見すると無関係に見える過去の事件と現在発生した殺人事件が、「同じ筆跡の特徴」や「独特の文法上の歪み」によって一本の線でつながる瞬間は圧圧だ。
物語の中盤から散りばめられた伏線の回収も見事というほかない。特に、理沙が長年追ってきた特定の事件に関する「文字のクセ」に関する記憶や、黒幕が仕掛けた「文字のすり替え」のトリックは、結末に至るまでの緊張感を極限まで高めた。文面に込められた被害者の無念と、犯人が隠し続けた屈折した感情が解き明かされるクライマックスは、観る者の心を激しく揺さぶる。