「美術館には行くけれど、博物館は歴史の教科書のような場所」というイメージを抱く人は少なくありません。しかし、制度的・学術的な観点から見ると、「美術館は博物館という大きな集合体の一部」に位置づけられます。
国際博物館会議(ICOM:International Council of Museums)が2026年のプラハ大会で採択し、2026年の今日において完全に定着した「ICOM博物館定義」では、従来の「収集・保存・研究・展示」という静的な役割から大きく踏み込んだ基準が明記されました。新たな定義では、「社会への奉仕」「アクセシビリティ」「多様性」「持続可能性」「倫理的かつ専門的な対話」が明文化され、市民とともに知を共創するアクティブな空間であることが国際基準となっています。
日常会話において「博物館」は歴史や自然科学系、「美術館」は絵画や彫刻を指す言葉として使い分けられますが、国際基準や日本の法規において美術館は博物館の一形態です。博物館の語源と歴史を紐解くと、古代ギリシャの学芸の女神ミューズを祀る神殿「ムセイオン(Mouseion)」に由来します。日本では幕末から明治初期、福沢諭吉の著述や1872年の湯島聖堂博覧会などを通じて「博(ひろ)く物を集めて公衆に見せる場」として定着しました。