この町において、磁器を焼き上げる窯業と美食を提供する飲食業は、もはや切っても切れない表裏一体の関係にある。単に料理を盛るための道具として器を扱うのではない。「どの器で味わえば料理のポテンシャルが最も引き出されるか」を職人と料理人が膝を突き合わせて議論する文化が、地域全体にしっかりと根付いているのだ。
長崎県東彼杵郡波佐見町という限られた土地だからこそ実現したこの濃密なコラボレーションは、現代の都市部では決して真似できない独自の強みとなっている。伝統を重んじながらも柔軟に新しい流行を取り入れる気風が、新感覚の「器を味わう食文化」を日々更新し続けている。