順風満帆なキャリアだけが、名優を作るわけではない。満島ひかりが歩んできた、時に孤独を伴う独立の道。そして永山絢斗が自ら招いた挫折と、そこからの這い上がり。皮肉にも、これらの過酷な経験が、彼らの演技にこれまでにない深みを与えている。
人間は傷ついた分だけ、他者の痛みに敏感になる。満島が演じるキャラクターに見られる、他者への深い眼差しと包容力。そして永山が復帰作で見せたとされる、言葉にならない葛藤の表情。かつて交わった二人が、別々の場所で痛みを経て、表現者としてより強靭になっていく姿は、観客の心を揺さぶらずにはおかない。