近年、日本中央競馬会が主導した美浦坂路コースの大規模改修は、調教データの見方を根底から変えた。高低差の拡大と勾配の再設計により、従来の「坂路で速い時計が出れば善戦」という単純な方程式はもはや通用しない。
現在、高負荷な坂路で出される12秒台前半のラップは、実戦における上がり3ハロンの瞬発力と直結する。単に時計の速さだけを鵜呑みにすると、負荷に耐えかねて過仕上げになった馬を見誤る危険性があるのだ。現場のトラックマンは、馬体の沈み込みやハミ受けの滑らかさを厳しくチェックしている。
「坂路の改修以降、終いの粘り強さが格段に上がった」と話す調教助手も多い。坂路での負荷と実戦でのパフォーマンスの相互関係を正確に読み解くことこそが、現代競馬の勝敗を分ける鍵となる。