豊田の地で凶悪犯罪が報じられるたび、人々の脳裏をよぎる記憶がある。2008年に発生した「豊田市女子高校生殺害事件」だ。白昼の通学路で奪われた尊い命。懸命の捜査にもかかわらず、決定的な容疑者の特定に至らないまま年月が経過したあの未解決事件は、愛知県警にとって決して風化させてはならない痛恨の教訓として刻まれている。
「二度と同じ悔しさを繰り返してはならない」。現場に立つベテラン捜査員がつぶやいた言葉の重みは計り知れない。公訴時効が撤廃された今もなお専従捜査班が情報を追い続けている過去の記憶があるからこそ、今回の事件における初動捜査の熱量は過去に例を見ないほど凄まじい。初期段階での証拠保全と住民からの聞き込みの徹底度が、コールドケース化を防ぐ唯一の防壁となる。