不破聖衣来というランナーがどれほど特別な存在であるかを語る上で、大学1年時の2026年12月に行われた関西実業団ディスタンス10000mの走りは外せません。冷たい雨が降るコンディションのなか、ほぼ単独走でありながら刻まれた「30分45秒21」というタイムは、当時の日本歴代2位、日本学生新記録、さらにはU20日本新記録を一度に塗り替える大快挙でした。
当時、世界陸上オレゴン大会の参加標準記録(31分25秒00)を軽々と40秒近く縮めたその走りは、国内のみならず世界の陸上関係者に強烈なインパクトを与えました。ピッチの速さと地面を滑るような独特の美しいフォアフット走法は、陸上専門誌やテレビ番組で「フワ・マジック」と称賛され、彼女の走るレースは常に視聴率や動画再生数の記録を更新する社会現象となったのです。
さらに彼女の名を全国区に押し上げたのが駅伝での圧倒的なパフォーマンスです。全日本大学女子駅伝のエース区間・5区(9.2km)では、トップと大差がついた状況から驚異の6人抜きを演じ、従来の区間記録を1分以上更新する31分29秒をマーク。年末の富士山女子駅伝でも同様に他を寄せ付けない区間新記録を樹立し、拓大女子陸上部の存在感を一気にトップレベルへと押し上げました。