外資勢が撤退した後のロシア市場において、中国勢とシェアを二分しているのがロシア最大の国産車メーカー「アフトヴァズ(AvtoVAZ)」です。同社が展開する伝統のブランド「ラーダ(LADA)」は、ロシア国内で最も身近な大衆車として知られています。
しかし、アフトヴァズ生産状況の舞台裏は決して平坦ではありません。かつてアフトヴァズは仏ルノー傘下で近代化を進めていたため、電装系や安全装置の多くを欧州サプライヤーに依存していました。経済制裁の発動直後は、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やエアバッグ、排ガス制御用ECUなどの調達が完全にストップし、一時は「エアバッグ非搭載・排ガス基準を大幅に緩和した簡略仕様(アンチサンクション仕様)」での生産を余儀なくされる異例の事態に追い込まれました。
現在では中国や友好国経由の代替部品、国産開発パーツへの切り替えが進み、主力車種「グランタ(Granta)」や「ベスタ(Vesta)」の生産ラインはある程度の安定を取り戻しています。気になるラーダ新型車の評判と価格ですが、ロシア国内での評価は二極化しています。
「壊れても自分で直せる」「手頃な足車」としての需要は依然として高いものの、部品調達コストの上昇やインフレにより、かつて50万〜80万ルーブル程度だった大衆モデルが、現在では150万〜200万ルーブル(約250万〜330万円相当)を超える水準まで跳ね上がっています。「国産車の最大の魅力だった安さが失われ、この価格を出すなら中古車やエントリークラスの中国車を買う」という消費者のシビアな意見も散見されます。