トムス・エンタテインメントが手掛けた全編アニメ化プロジェクトにおいて、草摩由希を演じた島﨑信長の功績は計り知れない。透明感のある美声の中に、常に微かな震えと脆さを忍ばせるその演技は、由希が抱える危うい内面を見事に可視化させた。
『フルーツバスケット The Final』に至る過程で、声のトーンが防衛的な硬さから、柔らかく芯の通った響きへと変化していくグラデーションは圧巻のひと言に尽きる。さらに劇場上映された『フルーツバスケット -prelude-』に至るまで、制作陣の原作に対する凄まじい敬意と情熱が結実し、由希という少年の魂の軌跡は日本のアニメーション産業史に残る完成度へと昇華された。