医学的に「妊娠」が成立するためには、女性の体内と男性の体内から送り出された生殖細胞が出会い、子宮内で育ち始めるための複数のハードルをクリアする必要があります。この一連の流れは大きく分けて排卵、受精、着床の3段階に分かれています。
まず、女性の卵巣の中で成熟した卵胞から卵子が腹腔内へ飛び出す現象が排卵です。排卵された卵子は、卵管采(らんかんさい)と呼ばれる器官にキャッチされ、卵管へと取り込まれます。この卵管の中で、膣から子宮頸管、子宮腔を泳ぎ上ってきた精子と出会います。
数千万から数億個の精子のうち、卵子の待つ卵管膨大部にたどり着けるのはわずか数百個程度です。その中のたった1個の精子が卵子の外膜を突破して内部に入り込むと、受精卵が完成します。受精が完了した瞬間、卵子の膜は硬くなり、他の精子が侵入できない仕組みが働きます。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、約4〜5日かけて卵管から子宮へと移動します。子宮内膜に到達した受精卵(胚盤胞)が、厚く柔らかく整えられた内膜に潜り込む現象を着床と呼びます。着床が完了して初めて医学的な妊娠が成立し、母体から胎児への栄養供給ルートが形成され始めます。
妊娠が成立すると、女性の体内ではhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急激に分泌され始めます。これに伴い、着床時のわずかな出血(着床出血)や基礎体温の高温期の持続、強い眠気や胸の張りといった妊娠初期症状のサインが現れることがあります。