メインイベントのリングに上がった両者の目には、狂気すら孕んだ覚悟が宿っていた。ゴングと同時に中央へ飛び出した王者は、持ち前の威圧感でプレッシャーをかける。対する挑戦者は、前傾姿勢からミリ単位のステップバックで間合いを外す。緊張で静まり返る場内。空気を切る鋭い打撃音が響いたのは、開始わずか2分過ぎのことだった。
挑戦者の放った目くらましのローキックから、一瞬の隙を突いた右ストレートが王者の顎を撃ち抜く。足元をすくわれたかのように崩れ落ちる王者。追撃のパウンドが入る前にレフェリーが割って入り、試合終了を告げた。マットに横たわる絶対王者の姿に、アリーナ全体が一瞬、息を止めた。