このミュージアムの真骨頂は、間違いなく「やなせたかしギャラリー」にある。天井が高く開放的な空間に飾られた数々の大型油彩画は、圧倒的な存在感で観る者を惹きつける。
ひもといていくと、どの絵画にも深い詩情と切なさが漂っていることに気づく。お腹を空かせた者に自分の顔をちぎって与えるアンパンマンの原点は、やなせ氏が戦中・戦後に経験した極限の飢餓感だった。画面から溢れ出る温かい色彩の裏に秘められた「身を削って他者を助ける」という覚悟。ポップなキャラクターという表層の奥にある重厚なメッセージ性に気づかされたとき、誰もがこの場所を「聖地」と呼ぶ理由を深く納得するはずだ。