デビュー以来、日本レコード大賞をはじめとする数々の栄冠を手にしてきた氷川きよし。しかし、その華やかな表舞台の裏では、「男らしく」「演歌歌手らしく」という世間からの無言の圧力との葛藤が長年続いていたという。誰もが憧れるスターの座にありながら、本当の自分を隠し続ける苦悩は想像に難くない。
転機となったのは、2019年の『限界突破×サバイバー』のパフォーマンスだ。メイクを施し、ボディラインを強調した衣装でロックを歌い上げる姿は、それまでの「演歌界のプリンス」のイメージを根底から覆した。この瞬間、私たちは新たな時代の表現者の誕生を目撃したのだ。