現代社会を覆う「タイムパフォーマンス(タイパ)」の追求も、この誤用に拍車をかけている。じっくりと辞書を引く習慣は廃れ、タイムラインに流れる文脈からなんとなく意味を察する。そんなその場しのぎの理解が、誤用を再生産するループを生み出しているのだ。
特にSNSの短いテキストの中では、前後の文脈が省略されやすい。「彼の言葉が琴線に触れた」とだけ書かれていた場合、それが感動の涙を誘ったのか、それとも激怒させたのか、前後の投稿を見なければ判別できないこともある。こうした曖昧なコミュニケーションが、誤解の温床になっているのは間違いない。