物語の核心は、武田鉄矢演じる達郎の「泥臭いまでの必死さ」にある。その対極として配置されたのが、彼の演じる沢村の「洗練された美しさと若さ」だった。
達郎が「僕は死にましぇん!」とトラックの前に飛び出す狂気の愛を見せる一方で、沢村は音楽という共通言語を通じて静かに、しかし情熱的に薫にアプローチする。この二人のコントラストが強烈であればあるほど、薫の心の揺れ動きはドラマチックになり、視聴者はどちらの感情にも感情移入せざるを得なくなった。彼が完璧な「美の障壁」として立ちはだかったからこそ、達郎の不器用な愛の勝利が、奇跡のカタルシスへと昇華されたのである。