駅の土産物コーナーに並ぶ波打つこしあんの餅を見て、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「赤福餅」です。そのあまりに強固なブランド力ゆえに、隣に並ぶ似た形状の菓子を見た消費者が「赤福パクリ疑惑の真相はどうなっているのか」「偽物が堂々と売られている」とSNS上で発信するケースが後を絶ちません。
この「偽物」と槍玉に挙げられがちな菓子の筆頭が、株式会社御福餅本家が製造する「御福餅(おふくもち)」です。ピンク色を基調とした包装紙に、波模様のついた小豆あん餅という外観から、一見すると赤福の亜種に見えます。しかし、結論から言えば、御福餅は赤福の偽物でもコピー商品でもありません。
江戸時代、伊勢神宮へ向かう参宮街道(お伊勢参り)には、全国から集まる旅人に精をつけてもらおうと、数多くの餅屋が軒を連ねていました。これを歴史的に「餅街道」と呼びます。赤福餅も御福餅も、街道沿いで旅人を迎えていた伝統的な「あんころ餅」の系譜を継ぐ本物の伊勢名物であり、互いに切磋琢磨してきた間柄に過ぎません。