制度上の線引きが明確化されている一方で、臨床現場の実態に目を向けると、患者やスタッフの間で様々な摩擦や疑問が生じています。
特に重度の歯周病治療におけるSRP(スケーリング・ルートプレーニング=歯根面の歯石除去)では、歯ぐきの奥深くに器具を入れるため強い痛みを伴います。患者の苦痛を和らげる目的で麻酔が必要となりますが、多忙な歯科医院では「ドクターの手が回らないため、衛生士が麻酔を打たざるを得ない」という現場の口コミや報告が散見されます。
現場で問題視されやすいグレーゾーンの典型例は以下の通りです。
・歯科医師が治療ユニットから離れ、衛生士が単独で判断して麻酔を追加する
・新卒や十分な教育を受けていない衛生士に対し、院長の指示のみで注射を強制する
・患者に対して「誰が麻酔処置を行うのか」の説明が事前になされていない
患者側からすれば、「説明なしにいきなり衛生士に注射された」という状況が不信感を生む最大の原因となっています。適法な補助行為であっても、事前の丁寧なインフォームドコンセントが欠かせません。