インターネットやSNS上では、水産業の不振に関して単純化された言説が飛び交う傾向があります。しかし、現場と学術研究の観点から見ると、事実と異なる誤解が少なくありません。
誤解1:「日本の海から魚が完全に消え去った」という誤認
「魚が全滅した」と語られがちですが、実際には「魚種が入れ替わり、獲っても売れない魚が増えている」ケースが多々あります。海水温の上昇によってブリやサワラが北海道などの北方海域で豊漁になる一方、従来の市場インフラや消費者の嗜好が追いつかず、十分な価格がつかないミスマッチが生じています。
誤解2:「輸入魚があるから国内漁業は縮小しても困らない」という安易論
ノルウェー産サバやチリ産サーモンが定着したため、国内漁業の衰退を軽視する意見も見られます。しかし、世界的な人口増加と健康志向に伴い、国際的な水産物争奪戦(買い負け)が起きています。為替の円安基調も重なり、海外からの買い付けコストは急騰しており、国内の沖合漁業を崩壊させることは、日本の食料安全保障を根底から揺るがす直接的なリスクに直結します。
誤解3:「大型船で効率よく獲ればすべて解決する」という昭和的発想
かつては大型船で大量に獲り、安価に大量流通させることが正義でした。しかし現在、小型の未成魚まで混獲して養殖用の餌や魚粉として安値で売り払うビジネスモデルは、資源保護の観点からも採算性の面からも完全に破綻しています。