リング上では文字通り「殺し合い」に近い戦いを見せていた二人だが、その素顔は全日本女子プロレス(全女)の同期生であり、同じ釜の飯を食べた無二の親友だった。過酷な徒弟制度と、売れなければ即切り捨てられる実力主義の狂気の中で、二人はお互いしか理解できない孤独を共有していた。
ダンプ松本という稀代のヒール(悪役)は、長与千種という絶対的なベビーフェイス(善玉)がいて初めて成立した。逆に、長与の輝きは、ダンプの圧倒的な悪の華によって何倍にも増幅された。お互いを輝かせるために、プライベートでの交流を一切断ち切り、私生活でも「敵」であり続けたプロフェッショナルとしての覚悟。それこそが、彼女たちのプロレスを本物に仕立て上げた原動力だ。