顔が思い出せないと聞いて、脳の機能障害である「相貌失認(そうぼうしつにん)」を疑う人もいるかもしれない。しかし、日常的に他人の顔を識別できており、特定の好きな人に対してだけこの現象が起きる場合は、まったく異なるメカニズムだ。
現代の私たちは、スマートフォンやPCの画面を通じて無数の顔写真を消費している。SNSのフィルターや加工技術が当たり前になった現在、脳は「本物の顔」と「補正された顔」の境界線を見失いがちだ。実物の相手と対面した際、脳がどの情報を「真実」として記憶すべきか混乱していることも、この現象に拍車をかけている。