時計の針を少し巻き戻そう。この前代未聞のプロジェクトは、プロダクトデザイナーのミチヒロ・カワモト氏がX(旧Twitter)上に投稿した「架空の便利グッズ」のコンセプトアートから始まった。「こんなイヤホンがあったら面白い」という一言とともに投稿された画像は、またたく間に拡散され、数万のいいねを集めたのだ。
通常であれば、ネット上の「バズ」は数日で忘れ去られる。しかし、明治のマーケティングチームは違った。SNS上の狂乱とも言える熱狂を静かに見守っていた同社は、これを単なるネットの悪ノリで終わらせず、自社の「ブランド価値を再定義する絶好のチャンス」と捉えたのだ。本気の技術者を巻き込み、食品メーカーが本気でオーディオ機器を作るという型破りな開発がスタートした。