日本本土で親しまれている「天ぷら」といえば、薄い衣で素材の水分を閉じ込め、天つゆや塩で上品に味わう日本料理を想起する人が大半でしょう。しかし、沖縄における天ぷらは全く異なる独自の進化を遂げたソウルフードです。
沖縄の天ぷらは、小麦粉に卵や塩、出汁などを加えた厚めの衣をまとわせ、フリッターのようにふっくらと揚げるのが特徴です。何もつけずにそのまま片手で頬張れる手軽さがあり、古くから部活帰りの学生のおやつや、農作業・漁の合間の間食として親しまれてきました。
なかでも中本鮮魚てんぷら店が圧倒的な支持を集める背景には、鮮魚店直営という圧倒的な素材力があります。目の前の奥武漁港から仕入れる新鮮な魚介を惜しみなく使用し、外側はサクッと香ばしく、内側はもっちりとした絶妙な弾力の衣で包み込む技術は、長年の試行錯誤によって完成されたものです。1個あたり100円〜150円前後という手頃な価格設定も手伝い、「橋を渡ったらまず天ぷらを買う」という体験そのものが、南城市奥武島を訪れる人々にとって特別な文化体験として定着しています。