地震が発生した際、地下の岩盤破壊によって生じたエネルギーは波となって全方位へ放射されます。このとき発生する代表的な地震波がP波(Primary wave=第1の波)とS波(Secondary wave=第2の波)です。初期微動の正体は、進行方向と同じ方向に振動する「縦波」であるP波であり、その後に続く激しい主要動の正体は、進行方向と垂直に揺れる「横波」のS波です。
では、なぜこの時間差(初期微動継続時間)を測るだけで、震源までの距離が正確に割り出せるのでしょうか。その理由は、両者の「圧倒的な伝播速度の差」にあります。
これは、夏の夜空に光る「雷」とまったく同じ原理です。ピカッと稲光が見えてからゴロゴロと雷鳴が轟くまでに数秒のズレがあるのは、光速(秒速約30万キロメートル)と音速(秒速約340メートル)のスピードが大きく異なるためです。「光ってから音が鳴るまでの秒数を数えれば、落雷地点までの距離がおおよそわかる」という生活の知恵と同じ構造が、地中を走る地震波でも起きています。
地殻内において、P波は秒速約6〜8kmという猛スピードで突き進むのに対し、S波は秒速約3.5〜4.5kmと半分程度の速度でしか進めません。震源から観測点までの距離が離れれば離れるほど、足の速いP波と足の遅いS波の「差」は広がっていきます。つまり、初期微動継続時間(秒)を計測することは、2つの波のレースにおける「着差」を測っていることに他ならず、その時間差から逆算して震源までの距離を正確に特定できるのです。